2021.5.24

富士登山鉄道に反対

地元観光連盟「料金高く利用者制限」

 長崎幸太郎知事が推進する「富士山登山鉄道構想」について、富士北麓地域の観光団体や自治体でつくる富士五湖観光連盟(会長・堀内光一郎富士急行社長)は21日、「方向性が誤っている」と反対する考えを表明した。導入が想定される次世代型路面電車(LRT)を電気バスと比較し、「環境保全や利便性、コスト面で必ずしも優位ではない」と指摘。県による地元説明を前に地元の観光団体が構想に反対を表明したことで、議論は曲折が予想される。

 21日に富士吉田市内のホテルで開かれた連盟の総会で、堀内会長が表明した。

 県が「最も優位性が高い」とする富士山の麓と5合目を結ぶ富士山有料道路(富士スバルライン)上へのLRTの敷設について、「高額な往復料金で利用者が制限される」と言及。構想で示された往復料金1万円とする試算に、堀内会長は「一部の人しか5合目に行けない」とし、「世界中に愛してもらう富士山の観光、登山の理念と逆行する」と指摘した。鉄道の整備に約1400億円が必要と見込まれることに加え、土砂と積雪が流れるスラッシュ雪崩などの災害が起きた際のリスクが高いことなども懸念した。

 構想を県が設置した全国の有識者による検討会を東京都内で開き、とりまとめた経過も「有識者で議論されてどんどん協議が進められている。山梨県、日本にとっても大切な資源。県がしっかり関与して、民間任せにしないでほしい」と苦言を呈した。

 堀内会長は終了後の取材に、「スバルラインを1日3往復できる電気バスが実際に運行している」とLRTに懐疑的な見方を示した。

 堀内会長は県の検討会の委員。連盟は「検討会では理事が議論し、委員は傍聴参加のため、これまで発言する機会がなかった」とした。

 長崎幸太郎知事は今回の連盟の表明に対し、「どういう発言があったか確認したい」と話した。県は今後、住民説明会などを通じて構想への理解を求める考え。

(2021年5月22日付 山梨日日新聞掲載)

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