2021.2.15

富士山鉄道、地元は否定的

知事「議論重ねる」

 長崎幸太郎知事は12日、臨時の記者会見を開き、富士山の麓と5合目を結ぶ富士山登山鉄道構想に地元首長が否定的な考えを示したことを受けて、「(地元首長から)示された問題意識に沿って議論を積み重ねることが大事だ」とし、慎重に議論を進める考えを示した。

 富士吉田市の堀内茂市長は10日の会見で災害や環境保全への対応について指摘した上で、「必要性を感じていない」との考えを表明。これに対し、長崎知事は「(反対の考えは)十分理解できる。指摘は大変ありがたい。真摯な議論を始めるきっかけを与えていただいたと認識している」と述べた。

 往復運賃1万円の設定に、観光客の敬遠を懸念する地元首長がいるが、「今後の観光モデルは3密回避が叫ばれる中で、多くの人がひしめき合う観光地はあり得ない。少人数の高単価の客を相手にする方が、サービス業はゆったりとした労働環境になる」とし、富士山観光の付加価値向上につながるとした。

 また、長崎知事は、静岡県内で23日に開かれる「富士山の日」の催しで静岡県の川勝平太知事と面会する際に、構想の概要を説明し、意見交換する考えを示した。

 構想は、富士山有料道路(富士スバルライン)上に次世代型路面電車(LRT)を敷設することが柱で、8日の県の検討会総会で決定した。県は今後、地元市町村や関係団体に構想を説明する。

(2021年2月13日付 山梨日日新聞掲載)

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