2021.10.28

学術委、環境影響調査提案へ

コロナ禍 富士登山者が激減

 富士山世界文化遺産学術委員会(委員長・青柳正規富士山世界遺産国民会議理事長)は25日、東京都内で会議を開き、新型コロナウイルス禍で富士山の登山者数が大きく減少したことによる環境などへの影響を取りまとめるよう、山梨、静岡両県などで構成する富士山世界文化遺産協議会に提案することを決めた。

 今夏(7月1日~9月10日)の登山者数は7万8548人で、2019年に比べて6割以上減少し、統計を始めた05年以降で最も少なかった。また、昨年はコロナ禍の影響で開山していない。

 登山者数の激減を受け、委員からは「富士山の過密対策や登山鉄道を議論する上でも、地元経済や環境にどう影響したのか検討する体制が必要だ」「やろうと思ってできるようなことではなく、その統括は非常に大事。環境的、経済的にどうなったのかを調査するべきだ」などの意見があった。

 青柳委員長は「通常の年ではないデータが得られた。学術委の意見に応じた調査を富士山世界文化遺産協議会で審議し、対応してもらいたい」などとし、学術委として来年3月に開催される予定の同協議会に提案することを決めた。

 学術委ではこのほか、今夏の登山者数の動向や富士山保全協力金の協力率、アンケートなどの結果を確認。20年度の年次報告書案を了承した。また、山梨県の担当者が富士山登山鉄道構想について、計画段階遺産影響評価の素案を来月に示し、来年3月に富士山世界文化遺産協議会に中間報告する想定のスケジュールを報告した。

(2021年10月26日付 山梨日日新聞掲載)

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