2022.10.06

富士急 芦ノ湖に進出

遊覧船事業を取得

 富士急行(富士吉田市新西原5丁目、堀内光一郎社長)は3日、伊豆箱根鉄道(静岡県三島市)から神奈川県の箱根・芦ノ湖で運営する遊覧船事業を譲り受けることで同社と合意したと発表した。芦ノ湖は富士急行が事業エリアとする富士五湖と静岡県の熱海・十国峠を結ぶ中間地点に位置しており、富士急行は「シナジー効果(相乗効果)で観光需要の取り込みが期待できる」としている。

 伊豆箱根鉄道によると、芦ノ湖の遊覧船は同社を含む2社が乗り入れている。同社は北岸の「湖尻」、ロープウエーや水族館がある「箱根園」、箱根神社近くの「元箱根」、箱根関所に隣接する「箱根関所跡」の各港から乗船できる周遊船を運営。船上から箱根の各名所や富士山などの眺望が楽しめることから、海外客を中心に人気が高いという。

 今回の事業譲渡は伊豆箱根鉄道から持ちかけた。富士急行は遊覧船3隻と4港、レストハウスがある「箱根・湖尻ターミナル」などの施設運営を引き継ぐ。富士急行による運営は2023年3月から。譲渡額は公表していない。伊豆箱根鉄道は元箱根港などで運営する飲食店や物販事業を継続する。

 富士急行は富士五湖・御殿場と十国峠を事業エリアにしている。同社は中間地点にある箱根について「観光のメインルートとして、両エリアを結ぶ連携上の重要な拠点」と評価し、譲渡を受けることを決定した。

 伊豆箱根鉄道は今年2月にも、十国峠のケーブルカー事業を富士急行に譲渡している。同社は「鉄道やバスなどの公共交通や不動産事業を基軸とした主力事業に経営資源を集約し、企業価値の向上を図っていく」としている。

 芦ノ湖遊覧船は箱根遊船が1920(大正9)年4月に開業し、運航を開始。38年に伊豆箱根鉄道が吸収合併し、運営していた。

(2022年10月4日付 山梨日日新聞掲載)

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