2023.12.26
富士吉田の中雁丸家 築150年超 御師の家表門を移築
富士山を信仰する富士講を迎え入れる御師として栄えた、富士吉田市の「中雁丸家」の表門が今月、同市上吉田3丁目に移築された。開発に伴い取り壊しが計画されたが、築150年以上の歴史的建造物を残そうと市がもらい受けた。市は今後、市指定有形文化財の登録を目指す。
市教委歴史文化課によると、中雁丸家は江戸時代中期に御師となった家筋。富士講中興の祖とされる食行身禄の富士山での修行に付き添い、身禄の死後、富士山信仰の教えを積極的に布教した立役者として知られている。
表門は江戸時代末期から明治初期に建築されたと推定される。高さは約3メートルあり、装飾が少なく、骨太な造りが特徴。本町通りに面して立つ表門としては、市の有形文化財に指定されている御師の家「浅間坊」の表門と双璧をなすほど歴史的価値は高いという。
同市上吉田5丁目にあったが、昨年敷地内に店舗出店が計画され、主屋とともに取り壊しが予定された。交渉の末に市がもらい受けることとなり、旧外川家住宅の駐車場内に移築。江戸-大正期に富士講が富士登山33回の登頂を記念して奉納するなどした石碑4基も併せて移した。
(2023年12月24日付 山梨日日新聞掲載)
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