外国人搬送10年で3倍 富士五湖消防、会話に支障も 1~11月271人

訪日客と英語で会話する消防職員ら=富士吉田・新倉山浅間公園
富士五湖消防本部が1~11月に救急搬送した外国人は271人で、過去最多を更新したことが17日、消防本部への取材で分かった。新型コロナウイルスの5類移行後、富士山や富士五湖など人気の観光地を訪れるインバウンド(訪日客)が増加したことが影響したとみられる。一方で、救急時に職員と外国人とのコミュニケーションに支障が出た事例もあるといい、17日には訪日客と英語で会話する実習を初めて実施。職員の英語力の向上を図り、外国人の円滑な搬送と適切な処置につなげたい考えだ。
消防本部救急課によると、2013年の富士山世界文化遺産登録後、訪日客が増えたことにより19年まで外国人の搬送人数は増加傾向にあったが、20~22年は新型コロナ感染拡大に伴う行動制限で減少。5類に移行した23年は167人、24年218人に増加し、25年は11月末時点で10年前の3倍以上に増えた。
消防本部は訪日客に適切に対応するため、14年から救急隊員や119番を受ける指令課員を対象にした英語講習会を実施。通報や救急車で駆け付けた時の対応、自然災害時の避難所への誘導対応などを学んでおり、これまでに約70人が受講してきた。
また、多言語での119番に対応できるよう、通訳を介した3者間通話を取り入れ、救急車には翻訳機能が使えるタブレット端末を配備。ただ外国人の症状の聞き取りに時間がかかったり、ジェスチャーでコミュニケーションを取ったりするケースがある。
こうした状況を踏まえ、17日には国内外で撮影スポットとして知られる新倉山浅間公園の忠霊塔付近で、訪日客と英語で会話する実習を実施。富士吉田市の国際交流員が講師を務め、職員3人が訪日客と英語で会話し、名前や訪日した理由などを聞き取った。

(2025年12月18日付 山梨日日新聞掲載)

